2017.09.18 ANAN-8000DLE 送信CW系調整
ANANの送信オーディオ系を終わったら、CW系の調整をします。 最終的には200Wの出力状態にまで調整しますので、ダミーロードは必ず接続します。
ダミーロードをANT1に接続
今日はANANを200W出力状態で調整しますので、ダミーロードをANT1に接続します。
- GUIの上部のメニューバーから「Setup」→「General」→「Ant/Filters」→「Antenna」とクリックしてAntenna Control画面を開きます。
- ReceiveおよびTransmitのアンテナがすべて”1”となっているのを確認します。
- 同画面右のSWR Protectionの「Enable Protection」と「Disable on Tune Pwr <35W」及び「Gnd BPF2 on Tx」が有効になっていることを確認します。
ノート
SWR Protectionはハードウエアーによる保護ではなく、ソフトウエアによる保護です。 ANANの出力が高SWR状態となった場合、「Enable Protection」が有効となっていると、出力を減少させます。
リニアーアンプやアンテナチューナーの調整をする場合最低限の出力を供給する必要があります。 「Disable on Tune Pwr <35W」は高SWRでもそのような調整をする為に最低限の出力をするための指定です。 Tune Pwrは「Setup」→「Transmit」タブで変更できます。
「ATT on TX」は送信時に受信系にアッテネーターを挿入します。 これは受信系のADCが送信時にオーバーロードとなるのを防いでくれます。
ANANの古い機種では送信時にRx2をミュートする必要があり、外部にリレーをつけ、BPF2を接地させていましたが、ANAN-8000DLEでは「Gnd BPF2 on Tx」を有効にするだけで送信時Rx2の保護を出来るようになっています。
Panadapter、Waterfall画面のバンド幅の調整
CWのチューニングはSSBのチューニングに比べデリケートです。 チューニング時のPanadapter、Waterfall画面のバンド幅はGUIの「ZOOM」で設定できます。 それで不足の場合は、GUIメニューの「Setup」→「Audio」でAudio画面を開き受信信号のSample Rateをデフォルトの192000→48000などに変更することでバンド幅を小さくすることができます。
チューニングしやすい好みのサンプルレートに変更してください。
ノート
サンプルレートの設定がオーデオメニューにありますが、これはオーデオサウンドカードを使ってデジタル信号処理をしていた過去の遺産です。 Ananは高速FPGAでデジタル信号処理をしているのはいうまでもありません。
電鍵の接続とタイプ設定
ストレートキー、パドル(アイアンビックキー、スクイズキー)など電鍵をAnanのCW KEYジャックに接続します。 パドルの場合、単点をTIPに、長点をRINGに、接地をSLEEVEに接続します。 ストレートキーはTIPとSLEEVEに接続します。
ノート
CWの設定はGIUでも同じことができますが、パドルをモードA(通常モード)で使う場合、ここでCW設定画面を開いてモードBの設定を外す必要があります。
- GUIの上部のメニューバーから「Setup」→「DSP」→「CW」とクリックしてCW設定画面を開きます。
- CW Pitchを好みの周波数に設定します。
- ストレートキーの場合、iambicのマークを外します。
- パドルキーでモードAを使う場合、iambicはマークのまま、Mode Bのマークを外します。
- パドルキーでモードBを使う場合、iambicはマークとMode Bのマークをそのままとします。
- オートブレークインを好まない方はBreak InのEnablrdのマークを外します。
CW設定
CW関連の設定をします。
- GUIの右中段に電波モードがあります。 CWLまたはCWUを選択します。
- GUI下部にCW関連項目が表示されます。 CW Pitchを好みの周波数に設定します。
- オートブレークインがデフォールトでは有効です。 使いたくない場合はマークを外します。
- キーイングスピードを自分に合ったスピードに変更します。
- ストレートキーの場合、iambicのマークを外します。
ノート
- Sidetoneをマークするとキーイングをヘッドホンでモニタリングできます。 キーイング音量はMaster AFで調整します。
- Show TXCW Frequencyをマークすると送信周波数そのものが黄色いラインで表示されます。 これはスプリット交信をしている時、受信周波数と送信周波数が画面上で確認でき、便利なものです。
チューニング出力キャリブレーション
CW設定はほぼ終わりました。 最後はRF出力を200Wに調整しますが第1段階としてチューニング出力を調整します。 チューニング出力とは、アンテナチューナーやリニアアンプを調整するのにRF小出力が必要になるときがあります。 その時の小出力をボタン一つで行えるのがチューニング出力です。
- ダミーロードをANT1に接続していることを再確認してください。
- GUIの上部のメニューバーから「Setup」→「General」→「Ant/Filters」→「Antenna」とクリックしてAntenna Control画面を開きます。 ダミーロードを接続しているANT1に設定されていることを再確認してください。
- GUIの上部メニューから「Setup」→「Transmit」とクリックし、Transmit画面を表示します。
- 「TUNE」Powerを10にセットします。 (リニアアンプ、アンテナチューナー調整時の出力を10Wとしたいため)
- その下のUse Drive Powerのマークをはずします。 (トランシーバー運用中Drive Powerを変更することがしばしばありますが、その場合でもチューニングパワーが変更されないように10Wに固定するためリンクを外します。)
- GUIの上部右にあるTx MeterをFWD Pwrにする。
- GUIの右側のハムバンド設定ボックスからキャリブレーションするバンド(例えば160m)をクリックします。
- GUIの上部メニューバーから「Setup」→「PA Settings」→「PA Gain」とクリックしPA Gain画面を表示します。
ノート
PA Gain画面の使用可能な各ハムバンド毎にANAN-8000DLEのパワーアンプのゲインを設定(キャリブレーション)出来ます。 各バンドにはアップ/ダウン・ゲイン・コントロールがあり、そのバンドのパワー・アンプ出力を調整します。 Gain By Bandを増やすと、パワー出力が減少します。 逆に、Gain By Bandを小さくするとパワーアンプ出力が増加します。
- ダミーロードを接続している事、TUNE Control Setが"10"であることを再度確認し、GUIの左上部のTUNボタンをクリックします。 パワーアンプが作動し、ダミーロードにRF電力が送られます。 このパワーアンプキャリブレーションにアンテナを使うことは決してしないでください。
- Tx MeterのFWD Pwrが10Wになるように、PA Gain画面の選定したバンド(例えば160Mバンド)のGain By Bandを調整します。
- TUNボタンをクリックしTune送信状態を終了します。
- ステップ 7 からステップ 11 まで、すべての使用するバンドでゲインを調整します。
200W出力キャリブレーション
チューニングキャリブレーションが終わりましたので、パワーアンプの最大出力は200W前後となっています。 ユーザーズガイドではチューニングキャリブレーションでキャリブレーションは終了していますが、ダミーロードに200W出力を吸収する十分な容量があれば、200Wでのキャリブレーションをして置くのも良いことでしょう。
CW設定のすべてのステップ、およびチューニング出力キャリブレーションのステップ 1 から 6 までの設定がされていることを確認してから次のステップを始めます。
- GUIの右側のハムバンド設定ボックスからキャリブレーションするバンド(例えば160m)をクリックします。
- GUI左下の Drive を 25 に設定し、キーを操作し 000 (ゼロ、ゼロ、ゼロ)と送信して、Tx MeterのFWD Pwrが50W前後であることを確認してください。(ゲイン調整は不要です。)
- Tx MeterのSWRが十分に低いことを確認してください。 SWRが高い場合はダミーロードが不適ですから200Wキャリブレーションは中止します。
- Drive を 50 にして出力が100W前後となっていることを確認してください。 200W*50%=100W
- Drive を 75 にして出力が150W前後となっていることを確認してください。
- Drive を 100 にして出力が200WとなるようにPA Gain画面でGain By Bandを調整します。
- 全てのハムバンドでステップ1から6を実施します。
送信CW系の調整が完了です。 すでに送信オーディー系の調整も終わっていますので、ANAN-8000DLEの200Wトランシーバーとしての基本的な設定は終わりました。
トランシーバーの設定一式を保存しておきましょう
トランシーバーの設定がおかしくなり元に戻したくなる場合があります。 その場合、ANANをはじめから設定し直すのも一つの方法ですが、基本的な設定を外部ファイルに保存しておけば、いつでもそのファイルを読み込むことで元に戻すことができます。 基本的な設定が終わったところで外部ファイルに保存しておきましょう。
- GUIのメニューバーから「Setup」→「General」→「Hardware Config」とHardware Config画面を開き、「Export Database...」ボタンをクリックします。
- ファイル名入力画面が現れ、タイムスタンプまで入ったファイル名が表示されています。 このままセーブしても良いですし、ファイル名の中の"PowerSDR_database_export_2017-09-18_9.40"を例えば"基本設定_20170918"等と後からどの様なファイルか判明できる名前にするとよいでしょう。 保存ボタンを押しセーブします。