2017.09.05 さまざまなチューニング方法(PowerSDR)

 ANAN-8000DLEが届いて2週間ほどになりました。 ユーザズガイドを読みながら、受信の操作法をいろいろと試しています。 従来の通信機しか知らない身ですから、すべてが初めての経験です。 エネルギーを使いましたし、失敗もありました。 慣れるに従って、SDRならではのチューニングも経験し、なるほど便利なものだと感じています。 まずは、どのようなチューニング法があるのか、紹介します。 考えるまでもなく、この欄はANAN-8000DLEの紹介ではなく、PowerSDRの紹介ということになります。



方法1 マウスのホイールを回転させてチューニング

 トランシーバーのダイアルを回すようにマウスのホイールを回転させてチューニングします。 私にはなじんだ方法でしたので、最初に使ったのがこの方法でした。 説明の必要はないでしょう。 ホイールの1パルスごとの周波数変化幅(10khz~1hz)を「ホイールステップ」で設定します。

方法2 数値キーを使いチューニング

 キーボードの数値キーを使い周波数を変更できます。 これはチューニングというより指定した周波数にQSYするイメージでしょう。 画面に表示されたバンド切り替えボタンの代わりにキーボードからバンドを切り替えるのに使えます。

方法3 QWERTYUボタンとASDFGHJボタンでのチューニング

 キーボードの左上段に並んでいるQWERTYUの各ボタンがQ=1Mhzアップ、W=100Khzアップ、と順に並び、右に行くに従い桁が小さくなり、最後にU=1Hzアップまでボタンを押すごとにQSYします。 同様にその下列に並ぶASDFGHJボタンはダウンする機能です。 操作してみたら確かに周波数が変化しますが、まだこれは便利だという価値が見出せません。

方法4 マウスのドラッグでチューニング

 panadapterまたはwaterfall画面でマウスの左ボタンをクリックしたままドラッグすると画面が左右に移動し、画面のセンターにある赤いライン(チューニング周波数)にQSYします。 マウスを使ったSDRらしいチューニング方法です。 画面を左右にうごかすので素早くQSY出来るのですが、CW、SSBなどはドラッグだけでゼロインするのは難しいと感じました。 大まかにQSYして、上記のホイールでチューニングをすると、ゼロインが容易です。 この組み合わせは使えそうです。

 「ズームバー」とその隣の倍率ボタンで表示周波数範囲を2Khzから180KHzまで変化させバンド内をウォッチングすることができ、また「スライドバー」で表示範囲を左右させることができます。

方法5 「CTUN」ボタンを使ってマウスのドラッグでチューニング

 マウスでQSYするドラッグ・チューニングを改善した方法です。  panadapterまたはwaterfall画面で「CTUN」ボタンをクリックします。 そのうえでマウスをドラッグしてチューニングします。 マウスでドラッグすると、受信状況を表示している画面は左右には動かず、チューニング周波数を示すライン(画面中央の赤いライン)が左右に移動し、QSYします。 「CTUN」ボタンを再度クリックして解除すると、チューニングライン(赤いライン)がセンターに戻るように画面全体が移動します。 確かにこの方がマウスのドラッグ・チューニングより使いやすいですね。

方法6 クリックチューニングモードでチューニング

 panadapterまたはwaterfall画面でマウスの右ボタンをクリックすると、「クリックチューニング」モードになり、画面に黄色いラインが表示されマウスの動きに従い左右に移動します。 黄色いラインをチューニングしたい周波数まで移動させ、左クリックするとその周波数にQSYします。 慣れてくるとCW,SSBモードでゼロインに近いところまでQSYできました。マウスの右クリックをすると、「クリックチューニングモード」は解除され、黄色いラインが消えます。

 waterfall画面はウォッチングしているバンドの広い周波数を同時に監視できます。 受信している信号がCW、SSB、AMやその他等どの電波形式かも判断できます。 画面上の気になる信号に黄色いラインを合わせ、マウスを左クリックすると、瞬時にその周波数にQSYできます。

 SDRトランシーバーのチューニングに不安がありましたが、今までのトランシーバーのダイアル調整するだけのチューニングに比べても、これはとても便利です。 いまでは受信するときほとんどこの方法でチューニングしています。

人のふり見て我がふり直せ

  waterfall画面を眺めながら様々なチューニング法を勉強しましたが、受信信号には行儀のよいもの、そうでないものと様々でした。

 北海道札幌市のOMとは時々交信しています。 子供の時はラジオ少年だったようです。 通信を職業とされたとの事で、無線の経験、知識は私の及ぶところではありません。 安定したきれいな信号で、話題も豊富な局で、ほぼ毎日14Mの決まった周波数でオンエアーしておられます。 ANANの受信操作を習得するのによく利用させてもらいました。 Waterfall画面で見ても帯域幅ちょうどのきれいな帯で表示されています。

 その隣に時として行儀の悪いシグナルを見受けました。 帯域幅の倍ぐらい左右に電波をまき散らしています。 その周波数を受信してみると、音声はそんなにひずんで聞こえていないのですが、発射している電波はみっともないほど左右に不要電波を伴っています。 これがひどくなると隣にシャリシャリと迷惑をかけるようになります。  人のふり見て我がふり直せと言われているように感じましたね。 トランシーバーは立派でも、マイクのゲインの上げすぎなど操作不良で質の悪い電波が起こりえます。 ANAN-8000DLEではオンエアー電波の質まで見えてしまうのに驚きました。

「DUP」ボタンで自分の姿を見てみよう。

 ANAN-8000DLEは送信中に自分のRF信号をPanadapterまたはWaterfall画面に表示する機能があります。 今まで見ることの難しかったアンテナに出ている自局のRF信号を見れるようです。 自分の姿を見ることで、初めてふりを直す事ができますね。

 ユーザズガイドにはわざわざ 「Duplexボタンは、送信中にRX1の受信を有効にし、ユーザーは送信されたRF信号をPanadapterまたはWaterfall画面で見ることができます。 ANAN-8000DLEは選択したアンテナ【ANT1、ANT2、またはANT3】のRX1へのラインを接地し、高レベルのRF信号による受信機の損傷を防ぎます。」  と書かれています。 OMの皆さんにはオンエアー中の自局の信号を聞くと受信機がオーバーロードで破損しないかと危惧される方が多いのでこのようにわざわざ書いているのでしょう。

 オンエアーされた自局のRF信号を小さなピックアップで拾い、RX1のADCへの信号ラインに混ぜているのではないかと想像しますが、どうでしょう。

 

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