男一人オートバイで巡る 知られざるイギリスの魅力
イギリスの荒涼とした、また寒々とした自然の風景は日本のそれとは異なる趣がある。 湖水地方やコッツウォルズの自然の中を、またムーアの様な木が育たない岩むき出しの荒野の中をオートバイで走ってみたくなった。
宿泊はすべてイギリスに特有のB&Bを使い、夕食はすべてパブで取るというどっぷりとイギリスの日常に浸かった旅行をしてみる。
ブリテン島を一回り ツーリングコース
1月にニュージーランドの南島をオートバイで一周してとても楽しかった。 まだその感激が残る8月末に出発し、9月2日から15日まで、今度は時計回りでイギリス・ブリテン島を一周した。 ニュージーランドと違い時差のあるイギリスである。 ロンドンのグリニッジへ行き、1日ゆっくり散策して体調を整えてから、14日のツーリングに出発した。
- 9月2日 ロンドン⇒プリマス 400Km
- 9月3日 プリマス⇒オックスフォード 486Km
- 9月4日 オックスフォード⇒ブレコン 332Km
- 9月5日 ブレコン⇒カナーヴォン 478Km
- 9月6日 カナーヴォン⇒ランカスター 320Km
- 9月7日 ランカスター⇒グラスゴー 386Km
- 9月8日 グラスゴー⇒インヴァネス 425Km
- 9月9日 インヴァネス⇒サーソー 436Km
- 9月10日 サーソー⇒アバディーン 408Km
- 9月11日 アバディーン⇒エジンバラ 364Km
- 9月12日 エジンバラ⇒ヨーク 335Km
- 9月13日 ヨーク⇒ケンブリッジ 320Km
- 9月14日 ケンブリッジ⇒ブライトン 397Km
- 9月13日 ブライトン⇒ロンドン 173Km
イギリスの食堂 パブ
オートバイに乗り、初日のプリマス。 夕飯を食べにパブに出かけた。 イギリスではレストランでの食事のほか、地元の人たちは家族連れでパブで食事をする。 日本でパブというと酒を飲むところと思うが、イギリスではパブというとお酒の飲める庶民の食堂といえる。
プリマスの繁華街は意外と小さく30分もかからない。 パブはいくつかあったが、今日は港町なので魚料理とイギリス独自のエールビールを飲もうと観光客の多い港に面したところを選んだ。
旅行本によると、まずカウンターでビールを頼み、テーブルを決めたら食べ物を注文すると書かれている。 カウンターに行きエールビールを飲みたいというと若い気さくなバーテンが勧めたのが「TETLIY'S]。 ビールをもらうときにお金を渡す。 食事はできるかと聞くと室内でも屋外でもテーブルで注文をとるとのことなので屋外のテーブルに陣取り、道を歩く人たちを眺めながら、ゆっくりとビール。 待つほどもなく、ウエイターが注文を聞きに来た。
食事は「Seafood Basket」。 イカリング、えび(2種類)と白身の魚とサラダをあえたもののてんこ盛り。 サラダがたっぷりだったのと、イギリスらしくポテトチップスもたっぷりで満腹。 エールビールは常温で飲むビールでドラフトビールのように冷えてはいない。色が濃く苦味も多いがゆっくりと飲むようにできており1パイントでちょうど良い。
オートバイはホンダのNT700V Deauville
NT700V Deauville は国内では販売していないエンジン容量が680ccの海外仕様のもの。 走行距離は無制限で、2週間レンタルした。 通常の保険に加え人身事故無制限の保険も追加した。 海外でのツーリングには人身事故無制限の保険が必須である。 ホンダのオートバイは初めて乗ったが、癖がなく乗りやすい。
ロンドンは歴史の古い街でその道はくねくねと曲がっており、馬車の時代の交差点の名残のロータリーが健在だ。古い街角ではそれこそ200m毎にロータリーがある。 交差点の真ん中に白いペンキで2mほどの円が描かれた小さなロータリーまである。
高速道路や1級国道もその始まりはロータリーであり、車に乗るとかならずいくつものロータリーをくるくると回ることになる。ロータリーはヨーロッパアルプスをツーリングしたときに経験しているので戸惑いはないが、それにしても辻々がロータリーになっているイギリスにはあきれた。 一方、交差点に信号がないので、馬車のようぬなスピードの出ない車が交通量の少ない道路で走るには都合がよい。 まさに馬車の時代の交差点と感じた。
ハイランドは冬の気候
ロンドンを出発した数日は暑くライディングギアの前を開けて走っていた。 1週間たってハイランド地方まで北上すると、夏を過ぎたばかりだが、気温がかなり低い。 オートバイに気温計が無いので正確ではないが10度以下の気温であった。 ネス湖を過ぎ、1級国道を離れ、3級国道(A833)で山越えをして、西岸のアラプールへ通じる国道では対向車も殆ど無い。 今日の目的地のサーソーは北緯58度でカムチャッカ半島の北部と同じ緯度である。 途中で休憩したパブでは石炭ストーブに火が入って、室内はかすかに石炭のにおいがした。 寒いはずである。 ハイランドではライディングギアの下にセーターを着なければ寒い。
セントアンドリュース 18番ホール『スウィルカン・ブリッジ』
最北端を過ぎ、南下すると霧も晴れ、気温も上昇。 しかし、翌日も朝から濃霧。 天気が不安定だ。 ケアンコームズ国立公園は大雨・濃霧の中の走行だったが、海岸に近づき、セントアンドリュースに着いたときは薄日が差していた。 「イギリスには一日に四季がある」のは大げさではない。 セントアンドリュースはゴルフの聖地。 訪れたの日のゴルフ場は一般に公開されていた。 オールドコースの18番ティーからグリーン近くまでプレーをしているつもりで歩いてみた。 写真は18番ホールに架かるスウィルカン・ブリッジ。
ブリテン島を一周のソロツーリングでの経験や思い出を本にしました。
男一人 オートバイで巡る 知られざるイギリスの魅力