ロングステイ イン キャメロンハイランド
私は春先の花粉症に悩んでいました。 退職した後花粉の飛び回る時期に、気候温暖なマレーシアのキャメロンハイランドに滞在することにしました。
キャメロンハイランドの気温は東京の5月に近い
マレーシアは熱帯の国というイメージがあります。 首都のクアラルンプールの3月の最高気温の月平均は33℃、最低気温は24℃ほどと確かに暑いです。 一方キャメロンハイランドは最高気温の月平均が23℃、最低気温が16℃と東京の5月の月平均(最高23度、最低14度)に近いですね。 雨量は東京の9月が200㎜程ですから降雨量もあまり違いがありません。
マレーシアは人気のロングステイ先
マレーシアはマレー語、タミール語、中国語を母国語とする人たち、オランアスリと呼ばれる森の人たちで構成される多民族国家です。 多民族がそれぞれの文化を守りながら、マレー語と英語を公用語として採用しています。 小学校でも英語と母国語で教育していますので、マレーシアの英語力はシンガポールに次ぐアジア第2位の実力があり、外国人には過ごしやすい国です。 シンガポールの物価は日本より高いかもしれませんがその隣のマレーシアは日本より安く、ロングステイ先としてはハワイ、タイ、フィリピンを抑え、2006年から連続して第1位にランクされています。(ロングステイ財団調べ)
3月から4月にかけてロングステイ
2011年から2015年まで3月中旬から4月中旬までキャメロンハイランドに滞在し、散歩をしたり、ゴルフを楽しんだり、時には日帰りや数日の小旅行をしたりしました。 マレーシア全体ではマレー人が7割ほどだが、キャメロンハイランドでは中華系が5割ほどと多数を占めるのが特徴で、その気候を生かした紅茶の生産や日本・中国向けの高級野菜のハウス栽培が盛んです。 日本人のロングステイも多く、趣味の同好会なども盛んで、住みやすいところでした。
オランアスリの村へ行く
キャメロンハイランドで過ごした様々な思い出があります。 マレーシア半島中央に山脈が続いており、キャメロンハイランドはその山脈の中にあります。 そんな山奥にはまだマレー人より先に住んでいたオランアスリと呼ばれる先住民族がすんでいます。 マレー人との交流も少なく、教育も受けていない状態であったが、近年政府の保護を受け、マレー人の周辺に住むようになってきました。 そんな山奥のオランアスリの村に行った時の思い出です。
オランウータンという動物がいます。 その語源はマレー語のオラン(=人)とウータン(=森)からなる元々森の奥に住む原住民という意味から転じて動物の名になっています。 オランアスリという単語もマレー語なので「アスリと呼ばれる人」となります。
オランアスリはマレーシアの山中に住む先住民族である。 松本清張の小説「熱い絹」の時代、オランアスリはマレーシア政府がまだ掌握しておらず、社会の不安定要因であった。 1961年に設立されたJHEOA(オランアスリ局)によりオランアスリはマレーシア社会の一員となるように保護と教育を施されている。 今では山で狩猟生活をしているものの、孤立した自給自足の生活を捨て、町や村の周囲に住み、貨幣経済の周辺で生活するマレーシアの国民である。
オランアスリの人口は半島マレーシアの人口の1%、15万人ほどと言われ、多くが山岳地帯にすんでいる。 中でも中央山地を有するパハン州とペラ州だけでオランアスリの7割が住んでおり、パハン州に在るキャメロンハイランド周辺にはオランアスリの部落が点在している。
オランアスリの村へ 初めてキャメロンハイランドに滞在した時、現地の観光案内にオランアスリの村の紹介が載っていました。 その観光案内には吹き矢を使うオランアスリの写真と、村の位置を示す簡単な図が掲載されています。 それによると、オランアスリの村はゴルフ場からそんなに遠くはなさそうでした。 トレッキングがてら、政府が建てた家にオランアスリを移住させた村を訪問することに。
ゴルフ場横の幹線道路から横道に入ると、その道がさらに二手に分かれている。 どちらに進もうか迷ったが、村があると思しき方へと歩くと、やがて未舗装の道となってきた。 道路はやや荒れて水たまりなどもある。 前方からオートバイに乗った若者が来るので人家があるのだろうと、そのままなだらかな上り道を進む。 もうトラックが行き来する街道は見えなくなり、かすかに騒音がするだけの南国の山の中だ。
村のゲートで 少し緊張しながら、村に入ると、多少人の気配はあるが静かだ。 道の行き止まりは20m四方ほどの広場であった。 その奥の日当たりのよい斜面にトタンぶきの四角い家がパラパラと建っている。 ごみなどが散らばった様子もなく、清潔な村だ。
山の斜面に立つ家 家の周りで働いている人は見当たらない。 家の周りの空き地は畑として耕されているわけでも、草花を植えた庭を作っている様子もない。 庭というような考えは持っていないのであろうか、ただ草の茂った自然の空き地である。 山の民オランアスリには農作の習慣はなく、山に入り獣を獲ったり、木の実を採取するのだから、家の周りで働く姿がないのも納得できる。 じろじろと家の中をのぞくような無神経さなどは持っていないので(本音を言うと、少し怖くて緊張しているので)、広場からさらに奥へ行くのを止め、帰ることにした。 やはり、オランアスリの村に来るのは地元の案内人と一緒の方が安心である。
キャメロンハイランドの思い出を以下の表題でまとめて本を出版しました。
- キャメロンハイランドへ出かける
- ロングステイの達人
- 携帯電話とゴルフのプレーカードの入手
- オランアスリの薪拾い
- 叔父たちとのバードウォッチング小旅行
- シンガポール3泊5日バス旅行
- マレーの小学生
- スルタンの息子殿
- スルタンの館と月光荘
- ローカルバスの車掌さん
- ジャングルウォーク
- アニュアルディナー