電子書籍に写真を使う
小説や紀行文に昔は挿絵があり、読者の想像を助ける道具として用いられてきました。 電子書籍では挿絵は電子化してから挿入しますが、デジタルカメラで撮った写真はそのままで挿入できますし、その挿入も容易に行えます。
でんでんコンバーターで書籍に写真を組み込むには
Sigilで書籍に写真を組み込むには
電子書籍に使える写真
Kindle書籍ではGIF、BMP、JPEG、PNG、SVG等の画像が使えますが、デジタルカメラの写真はJPEGです。
写真はカラーで
Kindle、Kindle PaperwhiteやKindle Voyageは白黒の端末です。 写真のファイルサイズを小さくするため、白黒写真を使うのが良いかとも思いますが、Fireタブレットやi-Pad、アンドロイド端末はカラーであり、これらでもKindle書籍は読まれます。
カラー端末を持つ読者のため、カラー写真にしましょう。 アマゾンもカラー写真の使用を薦めています。
JPEGにはRGB、sRGB、CMYKとカラープロファイルは数種あります。 どれを使える?
「画像ファイルのカラー プロファイルには RGB を指定してください。Kindle は sRGB と CMYK をサポートしていません。」とアマゾンパブリッシングガイドに書かれています。
CMYKは印刷用のカラー写真で使うもので、電子書籍には使えません。 しかしデジタルカメラで使われているsRGBとRGBの差はわずかで、微妙な色の違いはありますが、sRGB も実用上ほとんど色の変化もなく使用できます。
デジタルカメラやインクジェットプリンターはsRGBプロファイルを採用しています。 我々が家庭で持っている写真も気にしなければsRGBプロファイルの写真です。 高級な一眼デジタルか特別な変換ソフトを使えばRGBプロファイルのJPEGファイルになりますが、微妙な色の表現にこだわらねば、デジカメで撮った写真をそのまま(すなわちsRGBプロファイルのまま)で電子書籍に使えます。
写真のサイズと品質
写真のサイズは使用する目的によって違ってきます。 例えば、文章の「つま」として小さな写真を挿入し、あるいは写真が主役の場合、大きな写真を使うでしょう。
Kindle書籍では画像サイズは4インチ×6インチをフルサイズとしています。 300ppiですから、1200×1800ピクセル以上であれば十分な品質です。 1200×1800ピクセル未満でも、フルサイズで表示はできますが、300×400ピクセルでは写真は不鮮明になります。 さらにそれより小さい写真は、Kindle書籍への変換に失敗します。
高詳細の写真を使うと写真かきれいですが次のようなデメリットがあり、1200×1800ピクセルを標準に考えればよいでしょう。
- 電子書籍のファイルサイズが大きくなり、ダウンロードに時間とコストがかかる。
- 電子書籍を読むとき、取り扱うメモリーが大きくなり、CPUに負担がかかる。
電子書籍ならではの機能
本の原稿を校正中に電子書籍ならではの機能を見つけました。 私は原稿が完成してレイアウトも7割ほど済ませていましたが、写真のレイアウトがこの機能で変わるので、レイアウトを初めからやり直しです。 その機能とは
- 写真をクリックすると、写真を拡大画像にした別画面が出てきます。
- 再度、拡大写真をクリックすると元画面に戻ります。
写真をどのように本の中でレイアウトするか苦労していました。 大きく見てもらいたい写真と、挿絵のように小さい写真が好ましいのと、写真ごとに大きさを決めて挿入していましたが、写真の大きさがばらばらで、本全体として落ち着きがない感じがしていました。
この拡大できる機能があれば、読者は大きく見たい写真をクリックすればよいので、写真の大きさは統一(たとえば25%)して、文章を回り込ませて本に配置できます。 これで本がすっきりします。
この機能を発揮させるには写真は解像度をあまり落とさないように、1200×1800ピクセル以上の写真を使うのがおすすめです。
デジカメの写真
デジカメで撮った写真のサイズを確認してみましょう。 それぞれの写真はサイズの情報を持っています。 エクスプローラー(ウインドウズのファイルを操作するアクセサリーソフト)で写真ファイルを右クリックし、プロパティーの詳細をみると、解像度(dpi)と幅・高さ(ピクセル)の表示があります。 カメラによって違いますが、私のカメラは 180dpi で幅×高さが 4,000X3,000 ピクセルの sRGB プロファイルでファイルサイズは2.5MBほどです。
「Kindle書籍に使う写真は 300dip にして下さい。 扱えるファイルは最大 5MB です。」とKindleのアマゾンパブリッシングガイドに書いてあります。 私の写真は 300dpi で 339mmX254mm となります。 そのような写真を挿入すると mobi フォーマットの変換するときに自動的に端末の幅いっぱいまでの写真に調整されます。 ファイルサイズも許容内ですから、端末の幅いっぱいの表示でよければそのまま使えます。 パブリッシングガイドには「写真は 600X800 ピクセル以上のものを使ってください。」とありますので、これより大きく、 5MB 以内が使用できる写真ですね。 もうひとつ気をつけたいのは mobi ファイルの最大は 650MB ですので写真の多い本を作るときは注意が必要です。
でんでんコンバーターで書籍に写真を組み込む
abc.jpgというファイル名の写真を本文の中に組み込むには;
- でんでんエディターを起動し、本文を入力します。
- 本文の写真を挿入する位置に次の記述をします。
![](abc.jpg) - 本文データを保存します。
- でんでんコンバーターを起動します。
- アップロードしてねのファイル選択をクリックし、電子書籍にする本文ファイルと、挿入写真ファイルを全て選択します。
- 「情報を入れてね」欄、「ページ送り方向」欄、「お好みでどうぞ」欄に必要な情報を入力します。
- 「変換」ボタンを押し、電子書籍(EPUB形式)を作成します。
EPUBファイルを開くと、写真が挿入されています。
補足説明
挿入する写真のファイル名は拡張子まで正しくインプットしてください。
本文ファイル、写真ファイルとも、半角の英数字を使います。 全角の英数字・漢字・平仮名ファイル名はEPUB変換やmobi変換でエラーとなるリスクがあります。 また、英数字は大文字、小文字も区別されますので、大文字、小文字も正しく入力してください。 デジタルカメラのメーカーによって、ファイル名の拡張子がJPGであったり、jpgだったりします。
Sigilで書籍に写真を組み込む
Sigilを使って電子書籍を作る「実習」を作りました。 その中に100%幅の写真を使う場合、25%幅の写真として余白に文書を回り込ませる場合も用意してあります。 スクリーンショットを多用していますので、参考にしてください。