Sigilの歴史


 SigilはEPUB形式のファイルをつくるフリーソフトです。 世界的には最も評価が高く利用されているソフトです。 しかし、日本では、縦書きでかつルビをふる機能が小説には必要で、利用が広がっていませんでした。 2016年にEPUB3が使えるようになり、その問題もなくなりました。

EPUBの機能の強化

 電子書籍は文字を主体とした小説を、電子書籍端末で紙の本と同じように表現することから始まりました。 世界共通の電子書籍形式となったのがEPUBです。

 しかし読者の欲望はそれだけに止まらず、「動画をみたい。 音を出してほしい。 本を読みあげてほしい。」と高度化してきました。 そのため新しい規格が順次発表されています。

  • 2007年9月  EPUB公開
  • 2010年6月  EPUB2公開
  • 2011年10月  EPUB3公開

 現在EPUB3が最新版です。 EPUB3でようやく、「縦書き機能とルビ使用機能」が加えられ、伝統的な日本の表現ができることとなりました。 しかし、すべてのEPUB3機能を利用できる電子書籍を作るソフトは無く、まだ開発競走中といえます。 EPUB3対応をうたったソフトでは、EPUB3形式のファイルを出力できますが、使える機能はまだ拡充の途上です。

 一方電子書籍を見るビューアーソフトも同様で、EPUB3形式のファイルを読み込めると謳ってはいますが、その機能すべてを使えるものではないことに注意が必要です。 順次充実されるとしても、まだその一部を利用できるにすぎません。

Sigilの歴史

 SigilはEPUB2形式のファイルを作成する代表的なソフトでした。 ユーザーは全世界に広がっており、評価の高いソフトです。 EPUB3の規格に「縦書き機能とルビ付き機能」が採用さたことで、ようやく縦書き小説にSigilを使えると日本のユーザーは大いに期待しました。

 しかし、Sigilに「縦書き機能とルビ付き機能」がなかなか採用されませんでした。 Sigilの開発が止まったのではなく、EPUB3の機能の内、全世界のユーザーにとって優先度の高い順に開発を進めたためでしょう。 EPUB3対応となってからも、「縦書き機能とルビ付き機能」は実現されませんでした。

 2015年12月現在、SigilにはすでにEPUB3の一部機能(音声とビデオ)が追加されています。 しかし、「縦書き、ルビ付き」という機能は世界全体から見ると、日本という一部の地域だけに必要な機能なので、開発が後回しにするのも、合理的な決断です。

 Sigilの開発は次のように進められました。

  • 2011年4月 バージョン0.4.0
  • 2012年1月 バージョン0.5.0
  • 2012年10月 バージョン0.6.0
  • 2013年2月 バージョン0.7.0~0.7.4 ここまでGoogle Codeのhome pageで開発
  • 2013年9月 開発主体が変わりホームページはGitHubに移行した。 EPUB3に対応するためシステムの大幅な見直し、再構築が行われた。
  • 2015年3月 バージョン0.8.5
  • 2015年9月 バージョン0.8.900(0.9.0のプレリリース版)
  • 2015年11月 バージョン0.9.0 ここからEPUB3の一部機能が順次使えるようになった。
  • 2015年12月 バージョン0.9.2 プラグインでEPUB3を出力が可能となった。
    Sigilバージョン0.9.2は依然としてEPUB2ファイルを出力します。 しかし、プラグイン機能でEPUB3ファイルを出力できるようになっていますので、EPUB3対応とも言えます。 このところ精力的にバージョンアップがなされているので、EPUB3出力がSigilに組み込まれ、「縦書き、ルビ付き」が使えるのも遠くはないと期待しています。
  • 2016年1月 バージョン0.9.3 標準でEPUB3ファイルを出力できるようになった。
    開発のスピードが速くなりましたね。 しかし、まだメタデータ(本のタイトル、著者、日本語指定)の編集は手入力が必要。
  • 2016年3月 バージョン0.9.4 標準でメタデータ編集が可能となった。
  • 2016年3月 バージョン0.9.5 バグフィックス
  • 2016年6月 バージョン0.9.6 EPUB2とEPUB3の機能強化
  • 2016年10月 バージョン0.9.7 EPUB3で加えられたオーディオ及びビデオといったマルチメディアに対応したコンテンツや、JavaScriptを活用した動的コンテンツ作成の機能も、このバージョンから正式な利用ができるようになりました。
  • 2017年3月 バージョン0.9.8 バグフィックスとEPUB3機能強化
  • 2017年12月 バージョン0.9.9 EPUB2/EPUB3機能強化とバグフィックス

     メタデータ(本のタイトル、著者名記入、日本語指定)とEPUB3形式ファイル出力、縦書き、ルビ機能が実現したバージョン0.9.4以降を利用すれば、日本語小説を作るレベルは「でんでんコンバーター」と同等以上となっており、十分使えますね。

  • 2019年12月 バージョン1.0.0 これまでのバージョンアップを再構築し、新規のバージョンとした。

     再構築でブックビューがなくなり、代わりにプレビュー窓ができました。 欧米の横書き文書の世界では大きな変化ではないが、縦書文書の世界には画期的な出来事です。
     プレビュー窓はブックビューでは出来なかった 縦書き文書を縦書きで表示 が可能となりました。
     縦書書籍を作る時プレビュー窓で確認しながらの編集ができるので、大きな不自由がなくなりました。

  • 2020年2月 バージョン1.1.0 いくつかのHTMLコードを使えるようになった。 従来でも書籍を作るのに不自由がなかったが、新たなコードは見栄えをよくするためのいくつかの機能が追加された。
  • 2020年3月 バージョン1.2.0 さらに機能追加。

Sigilのインストール

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