2023.02.26 川平の古民家

「沖縄の風景は?」と言われると赤い瓦の屋根、その中央に鎮座するシーサー、そして家を囲むサンゴ(琉球石灰岩)の石垣を思い浮かべます。

今日は川平の町にあるそんな風景を探しに出かけました。 もちろん行きかえりは5日フリー切符の使えるバスで往復です。

ホテルからはバスターミナル行きと空港行きの乗り合いバスが出ており、今日乗ったのは空港行きでした。 バス停で二つ目の川平ロータリまで10分もかかりません。 このバス停から川平湾公園前バス停まで町中をくまなく歩きます。

サンゴの石垣

小さな町ですがロータリーから川平湾へ幹線道路が2本、それを縫うように何本もの路地が通っています。 路地は左右がサンゴの石垣で囲まれておりおり、昔からある路地の雰囲気です。(サンゴの石垣と書いていますが、琉球石灰岩(=数万年前のサンゴや貝が石灰化した岩)の石垣であり生きたサンゴで作った石垣ではありません。)

シーサー

琉球赤瓦と立派なシーサーを見つけました。 これは新しい家ですが、石垣島の伝統が新築の家に引き継がれています。

一通り町を探索したら、5軒ほど古民家がありました。 多くは無人あるいは壊れかけた家でしたが、よく手入れしてある農家を見つけた。 許しをもらい撮影。 ご主人は「大した家じゃない。 古いだけだよ。」とさっさと農作業に出かけられたのでお礼も言えず。

古民家1

家の客が使う入り口。 入口を中へ入るとさえぎるように設けられた石垣(ヒンプン【屏風】と言うそうだ)も大きくて立派。 草やコケに覆われ貫禄があります。 家の前の路地は奇麗に掃除されていました。 入口とヒンプンの間も今朝掃除したのだろう箒の跡が残っていた。

古民家2

家の奥から路地に向かって撮った写真で右手には通用口(車の出入り口)がある。

古民家3

沖縄の古民家には玄関がなく、客は縁側から出入りするそうだ。 そのため縁側の庇は大きく張り出し、庇を支える柱があるのが特徴でアマハジ(天端)というらしい。 その雨端柱もまた立派なものである。 風雨にさらされるこの雨端柱はイヌマキであろうが、こちらではその耐久性をさらに上げるため海岸の土中に数年埋めてから使っていたらしい。 白い木肌は風雨に耐えてきたその結果だ。

さらに感心したのはその足元。 礎石とおもいきや、これはサンゴそのもの。 昔は海から取ってきて礎石として使っていたと聞いていたので、現物を見たいと思っていた。 今はサンゴの採取は禁止されているのでもう作れない礎石である。 他の古民家も見てみたが、全ての礎石が石、あるいはコンクリートであった。 この家はすべてがサンゴである。

12時のバスでホテルの戻り、散歩のたびに挨拶して仲良しになったゲートの守衛さんにこの雨端柱のサンゴの礎石の写真を自慢げにみせたら、私とそんなに世代が違わない守衛さんが一言。

「私の爺さんの家にもその石があったよ。」
「ええ! 今その家はあるの?」
「古くなったので壊した」
「石は何処にあるの?」
「さー 多分捨てた」
「ああー! もったいない」

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