電子書籍の校正 その1


 書き溜めていた原稿を元に、正月からいろいろな失敗や試行錯誤を経て不細工ながら電子書籍の格好に仕上げたのが、2月の中旬でした。 それからは本らしい格好に、また読者に読んでいただける品質に仕上げなければなりません。 それが校正という手順で、4月末まで繰り返し作業をしました。

 読者に気持ちよく読んでもらう本にするには校正がうまくできているか否かにより、この仕事は著者の仕事というより、編集者の仕事です。 自己出版をするには、一人何役もこなさなければなりませんが、見方を変えると本を出版するすべての段階に参画できるのが自己出版の醍醐味です。

誤字、脱字、漢字の誤用やタイプミスの修正

 原稿作成のときから、常に誤字、脱字、漢字の誤用、タイプミスのチェックと修正をします。 これは最終校が出来る時まで続く作業で、根気のいる仕事です。 長く同じ作業を続けてもつかれる割に効果が上がりません。 一定量のチェックや修正を行ったら、修正作業をやめ、ほかの仕事をしたり、スポーツをしたりと頭を空っぽにしてから、再開することを勧めます。

レイアウトを決める その1 新しいページで始める

 小説のような電子書籍はリフロー型コンテンツ(第1章 Kindleダイレクトパブリッシング参照)であり、ページの概念がなくなります。 しかし、新しい章は新しいページで始めたい場合があります。

 新しいページから始めたい文章から新しいテキストで原稿を記述し、一緒にEpub変換することで実現できます。 たとえば3章からなる原稿の、1章と2章の間と2章と3章の間に改ページを入れる場合

  • 第1章の原稿を Chap01.txt に、
  • 第2章の原稿を Chap02.txt に、そして
  • 第3章の原稿を Chap03.txt にと、

 三つのテキストファイルにしてから、でんでんコンバーターでまとめてEpub変換すると、1章と2章の間、2章と3章の間に改ページが入ります。

Sigilの場合はページ分割をしたい所にカーソルを置き、【編集】⇒【カーソル位置で分割】をクリックするとテキストが分割され、新しいページで次の章が表示されます。

レイアウトを決める その2 写真や挿絵

 昔の小説は写真はほとんど使っていません。 時代小説ではその時代の写真などないので当たり前ですが、挿絵は使われています。 デジタル写真の加工が容易になった現在、電子書籍ではふんだんに写真を使った小説があっても良いのではないでしょうか? 私は紙の本を出版した経験がありますが、紙の本では写真を多く使うと白黒写真でも本の価格が高くなります。 それがカラーになるともっと高くなってしまいます。 その点電子書籍はカラー写真も手軽に使えます。

 写真や挿絵は関連した文章の近くに挿入するのが効果的です。 その大きさと場所は文章の読みやすさと関連しますので、Mobiファイルに変換してから、挿入場所と大きさが適切か確認するのが良いでしょう。 また写真が多い場合、その大きさ(横幅)がバラバラでは書籍としての統一感が損なわれます。 挿入する写真や挿絵の横幅を一定にすると落ち着いたレイアウトになります。

レイアウトを決める その3 文章に段落をいれる

 「べた」で書いた文章は読みにくいものです。 文章の区切りごとに段落を入れる(1行のスペースを入れる)事で、見た目にもスマートになり、また読みやすい図書となります。

地名や固有名詞、数値や年月日が正しいか確認する

 正しい地名、固有名詞や数値、年月日が正しいかを確認するのは大変な苦労がありますが、十分に時間をかけて間違いを無くしていきましょう。

「て、に、お、は」などの使い方を正しく

 生粋の日本人である私は、正しい日本語を使っていると思っていました。 ところが、紙の本を出版したとき、編集者から「てにおは」をずいぶん手直しされました。 手直しをした文章は、自然に読み下せるのですね。 正しい日本語を使う癖をつけなければと痛感しました。 文章を読み下すとき不自然に感じる場合、「てにおは」を直したり、文章をみじかくしたり、前後を入れ替えると、理解しやすい日本語になる場合があります。

表現の揺らぎをなくする

 原稿を書き上げるのが短時間の場合は別ですが、何日も何週間もかかって書き上げた原稿では、同じ言葉でも違った使い方をしがちです。 たとえば「もっとも」と「最も」、「とくに」と「特に」などどちらも同じですが、書かれた文章は統一感がありません。 意識して使う場合を除き、原稿全体で使い方を統一するのが、良い原稿といわれます。 少し手間になりますが、原稿をWordに読み込み、「揺らぎのチェック」をして修正をしました。


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